治験とは

「くすりの候補」の人に対する効き目や副作用などを確認する試験を「臨床試験(りんしょうしけん)」といい、その中でも国(厚生労働省)から「くすり」として認めてもらうために行う臨床試験を「治験」といいます。
新しい「くすり」の誕生までは、以下の図をご覧下さい。皆さんが現在使用している「くすり」も、同様の流れに従って作られ国の承認を受け、一般の診療に使用されています。
 また、我々は、一般の方々に臨床試験に関する正しい知識を提供し、昭和大学臨床薬理研究所で実施する臨床試験(治験)に参加いただくボランティア(創薬ボランティア)を募集しています。
  創薬ボランティアのご登録は[こちら]から

治験とは

第I相試験

少人数の健康な成人(患者さんの場合も含)を対象に、その「くすり」が安全かどうかを調べます。また、「くすり」がどのくらいの時間で体の中に吸収されるか、そして排泄されるかを調べます。
昭和大学臨床薬理研究所(以下「本研究所」)は44床の臨床研究ベッドを所有しています。

第II相試験

少人数の患者さんを対象に、どのくらい「くすり」の効果があるのか(有効性)、どのような副作用がどのくらい現れるか(安全性)、「くすり」の使い方(使う量?使う期間?使う間隔など)を調べます。

第III相試験

多人数の患者さんを対象に、有効性、安全性、「くすり」の使い方などの最終的な確認を行います。
治験は国が定めたルール(GCP)に従って行われており、また、患者さんの人権保護、安全性等については本研究所内の臨床試験審査委員会において十分な審査を行い、病院長の承認を得て実施しています。
「くすり」を開発するためには、多くの患者さんのご協力が必要です。

用語の解説

臨床試験(治験)

「くすりの候補」が、人に対して本当に「安全なのか」、「効き目があるのか」を詳しく調べる試験を臨床試験といい、その中でも、得られたデータ(有効性、副作用など)をもとに、医薬品として使用してよいかどうかを国(厚生労働省)が審査する臨床試験を「治験」といいます。

製造販売後調査

医薬品として国(厚生労働省)から認められた後、一般診療で多くの人に使用される中、新しい副作用や他の薬剤との相互作用など主に安全性に関する情報を収集する目的で行われる調査です。

ヘルシンキ宣言

正式には「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」といい、被験者の福利に対する配慮が、科学や社会に対する利益よりも優先されることを定めた医学研究の倫理的原則です。治験はこのヘルシンキ宣言に基づいて人権を尊重して行われています。

IRB:Institutional Review Board(臨床試験審査委員会)

治験に参加される人の「人権」と「安全性」及び治験の「科学性」について審査する組織です。審査委員として病院の医療従事者の他に病院と利害関係のない人や医学専門家以外の人も含まれています。

インフォームドコンセント

被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験の目的や方法、予想される利益(治療効果など)、及び不利益(副作用など)等の説明が十分なされた後、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、文書によってそのことを確認します。

CRC: Clinical Research Coordinator(治験コーディネーター)

被験者の人権や安全を守り、また責任医師の指導のもとで信頼性の高い治験や臨床試験が円滑に行われるようにサポートするスタッフのことです。日本では「治験コーディネーター」の意味で使用されることが多いですが、近年は、「臨床研究コーディネーター」とも呼ばれています。

GCP

「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」の略。治験を倫理的かつ科学的に実施するために医療機関や医師、製薬会社が従うべき基準が定められています。

治験薬

治験薬にはその治験の目的として期待される効果をもった成分を含む被験薬と、成分が異なる対照薬があります。対照薬には、すでに上市され被験薬と同一の効能効果をもった医薬品と、成分を含まないプラセボ(見た目には被験薬と区別がつかないもの)があります。
それぞれの治験薬(被験薬と対照薬)を被験者が無作為に服用することで、医師や被験者間のバイアスがなくなり、被験薬の有効性?安全性を確かめることができます。